オフィスの移転やレイアウト変更で電気工事が当日に間に合わなくなるのは、多くの場合「机の配置が決まってから電源を考え始めた」ときです。先に今の電気の状況を確かめ、配置図に機器の電源を書き込み、間仕切り・配線・床・什器の順番に工事日を並べる。この順で進めると、コンセントの位置や数が合わない、使い始めたらブレーカーが落ちる、といった手戻りを減らしやすくなります。
この記事では、移転・レイアウト変更を担当する総務・設備のご担当者さま向けに、電源の増設と什器の搬入を当日までにどう段取りするかを整理します。旧オフィスの退去時の工事や、費用の負担の考え方はここでは扱いません。
レイアウト変更で電気まわりに起きやすいこと
机や棚の位置を変えると、電源との関係も一緒に変わります。よく起きるのは次のような場面です。
▶ コンセントの位置が合わない
床や壁のコンセントが、新しい配置では机の脚や棚の裏、通路の上に来てしまうことがあります。延長コードを通路に這わせると、つまずきやコードの傷みの原因になります。
▶ 消費電力の大きい機器が一か所に集まる
複合機、電子レンジ、電気ポット、サーバーなどを同じ一角にまとめると、同じ回路に負荷が寄ることがあります。コンセントの数が足りていても、回路の容量が足りなければブレーカーが落ちます。
▶ 間仕切りの位置が後から変わる
会議室や個室の壁の位置が動くと、壁に付けるコンセントやスイッチの位置も決め直しになります。
段取り1:今の電気の状況を確かめる
配置図を描く前に、移転先(またはレイアウトを変えるフロア)の電気の状況を把握します。発注側で確かめておきたいのは次の点です。
- 分電盤の場所と、扉に貼られた回路の表示(どの回路がどのエリアのコンセントか)
- コンセントが床にあるのか、壁にあるのか、それぞれの位置と数
- 電子レンジや複合機など、決まった機器のための専用のコンセントがあるか
- テナントとして入居する場合、電気設備のうちどこまでが貸主側の設備か
分電盤の内部は感電のおそれがあり、作業は有資格者が行うものなので、発注側では扉の外から見える範囲の確認と、写真の撮影までにとどめてください。回路の表示が古い、または表示がない場合は、現地調査で電気工事会社に確認してもらうのが確実です。
段取り2:配置図に機器と電源を書き込む
机や棚の配置図ができたら、そこに電気を使う機器を書き込みます。図面とあわせて、次のような一覧を作っておくと、電気工事会社との打ち合わせが早く進みます。
機器の一覧に入れておきたい項目
▶ 機器の名前と台数
▶ 置く場所(配置図のどこか)
▶ 電源の種類(100Vか200Vか。機器の仕様書・取扱説明書で確認)
▶ 取扱説明書などで専用のコンセントを求められているか
▶ 夜間や休日も電源を入れたままにする機器か
電源の種類や専用のコンセントの要否は、機器ごとの仕様書や取扱説明書に書かれていることがあります。200Vの機器や、三相200V(動力)の電源を使う機器が含まれる場合は、電力会社との契約や引込の確認が必要になることもあります。動力の確認手順は業務用エアコンの動力(三相200V)電源|法人物件で確認したい手順で整理しています。
壁や床にコンセントを新たに取り付けたり、位置を移したりして電線をつなぐ作業は、電気工事士法により、電気工事士などの資格を持つ人でなければ行えません。内装や什器の業者に頼む場合も、この部分を誰が施工するのかを確認しておきます。
段取り3:工事の順番と日程を並べる
移転やレイアウト変更では、複数の業者が同じ場所で作業します。電気工事はその途中に入るため、前後の工事との順番を先に決めておくことが大切です。一般的には、次のような流れになります。
▶ 間仕切りの位置を確定する
壁の位置が決まらないと、壁のコンセントやスイッチの位置が決まりません。
▶ 配線とコンセントの工事
床の仕上げや什器の搬入より前に済ませておくと、床をめくる・家具を動かすといった手戻りが起きにくくなります。分電盤に回路を足す作業などで停電が必要な場合は、営業時間外に入れるかどうかもこの段階で決めます。同じフロアで照明の交換など別の電気工事を予定しているなら、同じ日にまとめられないかも検討します。工事の束ね方は複数拠点の設備更新を複数年で回す|電気工事の発注時期をならす考え方で扱っています。
▶ 什器の搬入と機器の設置
机や棚を置いてから、複合機やパソコンなどの機器を設置します。
テナントビルでは、工事の申請や作業できる時間帯、搬入経路が館内規則で決められていることがあります。建物の管理会社に、申請の期限もあわせて確認しておきます。分電盤や配線など貸主側の設備に手を入れる工事は、貸主・管理会社の承諾が要る場合があるため、工事の内容が決まった段階で伝えておきます。
消防の届出も忘れやすい点です。たとえば東京消防庁の牛込消防署は、建物にテナントとして入居する場合、使用を開始する日の7日前までに「防火対象物使用開始届出書」の提出が必要であり、テナント内部の間仕切り工事などを行う場合は工事に着手する7日前までに「防火対象物工事等計画届出書」、間仕切り工事などに伴って自動火災報知設備や誘導灯などを増設・移設する場合は、設置した日から4日以内に「消防用設備等設置届出書」の提出が必要だとしています。設置の前に、別途「工事整備対象設備等着工届出書」などの提出が必要となる場合があることも示されています。届出の種類や期限は地域によって異なることがあります。テナントとしての入居でない場合(自社ビルへの移転など)も、届出が必要かどうかを所在地を管轄する消防署に確認してください。テナントの場合は建物の管理会社にもあわせて確認します。
また、自動火災報知設備の設置に係る工事は、消防法と消防法施行令で消防設備士でなければ行えない工事に挙げられています(電源の部分を除きます)。この工事に着手する日の10日前までの届出は、工事を行う甲種消防設備士がするものと消防法で定められています。コンセントなどの電気工事とは別の手配になるため、担当する業者を管理会社に確認しておきます。
段取り4:当日と使い始めの確認
機器を設置したら、実際に使う状態で確かめます。
- 機器ごとに電源が入るか
- 同時に使う機器(複合機・電子レンジ・ポットなど)をまとめて動かしても、ブレーカーが落ちないか
- 分電盤の回路の表示が、新しい配置に合わせて書き直されているか
- どのコンセントがどの回路か、工事の内容を記録として受け取ったか
回路の表示と工事の記録は、次のレイアウト変更や不具合のときの手がかりになります。見積の段階で、工事後に何を受け取れるのかを確認しておくと安心です。見積書のどこを見ればよいかは電気工事の見積書の読み方にまとめています。
オフィスのコンセント・専用回路の増設は株式会社スマイルパートナーへ
株式会社スマイルパートナーは、コンセント・専用回路の増設や分電盤まわりの工事を含む電気工事を、法人からの現場ごとの請負として日本全国でお引き受けしています。登録電気工事業者(千葉県知事登録 第300091号)として、有資格の作業員が施工します。配置図と機器の一覧、分電盤の写真をお送りいただければ、必要な工事の内容を確認したうえでご提案します。床のコンセントの移設を含め、どこまでお引き受けできるかは建物の設備の構成によりますので、まずは各種電気工事・家電の取付工事のページをご覧ください。なお、一部の地域では距離に応じた出張費がかかる場合があり、お見積りの段階で明示します。
出典:電気工事士法(昭和35年法律第139号)第3条、電気工事士法施行規則第2条、消防法(昭和23年法律第186号)第17条の5・第17条の14、消防法施行令第36条の2(いずれもe-Gov法令APIで2026年10月時点の条文を確認)/東京消防庁 牛込消防署「よくある質問」
