複数の拠点で照明・空調・電源まわりの更新を抱えている場合、発注の時期は「古い拠点から順番に」と決めるだけでは平らになりません。工事を「同じ日にまとめて入れるもの」「年度や季節をずらすもの」「期限が外から決まっていて先に枠を取るもの」の3つに分けておくと、予算の山と現場の日程の山を同時に低くしやすくなります。
この記事では、複数年にわたる設備更新を発注のタイミングに落とし込むときの考え方を、複数拠点を担当する法人の設備・総務ご担当者さま向けに整理します。
発注が同じ時期に重なると何が起きるか
更新の候補が複数の拠点にまたがっていると、発注が特定の時期に寄りがちです。年度の予算が確定したタイミングや、不具合が目立ち始めた季節に、まとめて動き出すためです。そうなると、次のようなことが一度に起こります。
▶ 見積と社内決裁が同時に押し寄せる
拠点ごとの見積を比べ、仕様を確かめ、決裁を回す作業が同じ月に集中します。比較の手間が増えるほど、確認が甘くなりやすい部分です。
▶ 立ち会いと営業調整が重なる
工事日には鍵の受け渡し、立ち会い、営業時間との調整が必要です。複数の拠点で工事日が重なると、本社側でも各拠点側でも調整が追いつかなくなります。
▶ 予算がその年だけ突出する
更新が一つの年度に固まると、その年の支出だけが大きくなり、翌年以降の見通しも立てにくくなります。
エアコンのように需要が初夏に一気に立ち上がる設備では、発注の集中がそのまま日程の取りにくさにつながります。季節の山そのものへの対処はエアコン取付の繁忙期対策|量販店・EC発注担当者が受付時に押さえる項目で扱っていますので、ここでは複数の拠点と複数の年度をまたいだ発注の組み立てに絞ります。
設備の一覧に「発注のための情報」を足す
複数年の計画は、拠点ごと・設備ごとの一覧から始まります。設置年や状態を並べる一覧のつくり方は、業務用エアコンを例に飲食店・店舗の業務用エアコン更新|計画的な工事スケジュールの組み方で紹介しています。発注の時期をならすには、そこにもう一歩、次のような情報を足しておくと判断が早くなります。
| 足しておく項目 | 発注の時期を決めるときに効く理由 |
|---|---|
| 停電の要否 | 停電を伴う工事は回数を減らしたいため、同じ拠点の別の工事と同じ日に寄せられるかを見ます |
| 作業できる時間帯 | 営業中に作業できるか、夜間や定休日に限られるかで、組める日程の幅が変わります |
| 同じ拠点で予定している他の工事 | 内装の改修や移転など、別の工事と時期を合わせられるかどうかの手がかりになります |
| 外から決まっている期限 | 交換部品の供給や法令の規制など、自社の都合では動かせない期限があるかを確認します |
| 社内の決裁にかかる期間 | 見積を取ってから発注できるまでの日数を、逆算の起点にします |
工事を3つに分けて発注の時期を決める
一覧ができたら、更新の候補を次の3つに振り分けます。拠点の古い順に並べるだけでなく、工事の性質ごとに時期の決め方を変えるのがポイントです。
① 束ねる工事:同じ拠点・同じ日に入れられるもの
同じ拠点で、照明の交換、コンセントや専用回路の増設、分電盤まわりの作業などが別々の年に予定されているなら、まとめて同じ日に入れられないかを検討します。とくに停電を伴う作業は、回数が増えるほど拠点側の負担が大きくなります。建物側ですでに停電を伴う点検や作業の予定がある場合は、その日に寄せられる工事がないかを、建物の電気設備を管理している方に確認しておくと段取りが組みやすくなります。テナントとして入居している拠点では、分電盤や照明器具が貸主側の設備であることも多く、工事そのものに貸主・管理会社の承諾が要る場合がありますので、あわせて確認しておきます。
② ずらす工事:季節と年度で分散させるもの
エアコン単体の繁忙期の外し方は前述の記事のとおりです。ここでは設備の種類をまたいで考えます。急がない更新は、需要の山を外して計画します。空調であれば真夏・真冬とその直前を避け、照明であれば営業への影響が小さい時期を選ぶ、という考え方です。年度の単位でも同じで、拠点ごとの更新を「今年はこの拠点、来年はこの拠点」と割り振り、毎年の工事量と予算がおおむね同じ大きさになるよう並べ替えます。
業務用エアコンを入れ替えるときは、取り外した古い機器の扱いにも法律の決まりがあります。フロン排出抑制法では、冷媒にフロン類を使う業務用エアコンを廃棄する際、所有者などの管理者が、自ら又は他の者に委託して、充塡されているフロン類を第一種フロン類充塡回収業者に引き渡さなければならないとされています(フロン類が充塡されていないことを充塡回収業者が確認した場合を除きます)。引渡しの際には回収依頼書や委託確認書を交付してその写しを、回収が終わったら交付される引取証明書を、それぞれ3年間保存する必要があり、これらに違反した場合の罰則も定められています。拠点ごとの更新計画には、こうした書面を誰が受け取り、どこで保管するかも決めておくと安心です。
③ 先に枠を取る工事:期限が外から決まっているもの
代表的なのが蛍光灯です。環境省によると、水銀に関する水俣条約を受けて、一般照明用の蛍光ランプは2026年1月から種類ごとに段階的に製造・輸出入が禁止されています。
電球形蛍光ランプ:2026年1月1日より禁止(30Wを超えるものは2027年1月1日より禁止)
コンパクト形蛍光ランプ:2027年1月1日より禁止
直管形・環形蛍光ランプ:2028年1月1日より禁止(ハロりん酸塩を主成分とする蛍光体を用いたものは2027年1月1日より禁止)
同じページで環境省は、蛍光ランプの使用・販売・購入は禁止されないことも明記しています。期日を過ぎたら一斉に使えなくなるわけではありませんが、交換用のランプが手に入りにくくなる時期は種類ごとに違います。拠点ごとに使っているランプの種類を一覧に加えておけば、どの拠点から先に枠を取るべきかが見えてきます。なお環境省は、蛍光灯の品番は「F」か「EF」で始まるものが多い(海外製品などでは表記が異なる場合もある)としています。切り替え方法の選び方は蛍光灯からLED照明への切替工事のページにまとめています。
1年の中での動かし方を決めておく
振り分けが終わったら、年度の中での段取りを決めておくと、毎年同じ流れで回せるようになります。
▶ 年度の初め
前年度に更新した一覧をもとに、その年に手を入れる拠点と工事を確定します。
▶ 年度の前半
現地調査、仕様の確定、見積の取得を進めます。見積を拠点間で比べるときの見方は電気工事の見積書の読み方で整理しています。
▶ 需要の山を外した時期
「ずらす工事」を施工します。期限のある工事は、この流れとは別に早めに枠を押さえます。
▶ 年度の終わり
完了した工事を一覧に戻し、翌年の候補を見直します。
マンションのように長期修繕計画に沿って動く物件では、計画の見直しのサイクルが発注の時期を左右します。その場合の時間軸はマンション管理会社向け|計画修繕に電気設備を載せる調査・予算化の時間軸をご覧ください。また、拠点ごとに調査や見積の基準を揃える仕組みは全国対応の電気工事|エリアごとの応援スタッフ手配と品質を揃える仕組みで扱っています。
複数拠点の電気工事は株式会社スマイルパートナーへ
株式会社スマイルパートナーは、エアコン工事を軸に、照明のLED化、コンセント・専用回路の増設、EV充電器・太陽光・蓄電池まで、法人からの電気工事を現場ごとの請負として日本全国でお引き受けしています。件数・エリア・時期の見込みが立った段階でご相談いただければ、拠点ごとの工事をどう束ね、どうずらすかを含めて日程の組み方からご提案します。どこまでお引き受けできるかは拠点ごとの設備の構成によりますので、まずは法人のお客様へのページをご覧ください。なお、一部の地域では距離に応じた出張費がかかる場合があり、お見積りの段階で明示します。業務用エアコンの設置工事は首都圏が中心ですが、首都圏以外の地域も対応しています。地域によっては、日程に余裕をいただく場合があります。
出典:環境省「一般照明用の蛍光ランプの規制について」、環境省「フロン排出抑制法」ポータルサイト「機器の廃棄」「FAQ」をもとに株式会社スマイルパートナーが編集して作成
