マンション管理会社向け|計画修繕に電気設備を載せる調査・予算化の時間軸

マンションの共用部にある照明や分電盤、インターホンといった電気設備の工事は、壊れてから慌てて手配するものではなく、長期修繕計画の標準的な様式のなかに、あらかじめ「項目」として並んでいます。ただし計画に書かれた時期はそのまま確定ではなく、実施するかどうかは事前の調査・診断で判断し、計画そのものも一定期間ごとに見直す前提でつくられています。この記事では、国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン」(令和6年6月改定)をもとに、調査から発注までの時間軸をマンション管理会社のご担当者向けに整理します。

電気設備は長期修繕計画の標準様式に最初から並んでいる

国土交通省のガイドラインは、長期修繕計画の中身について次のように説明しています。

長期修繕計画は、①計画期間、②推定修繕工事項目、③修繕周期、④推定修繕工事費、⑤収支計画を含んだもので作成し、これに基づいて⑥修繕積立金の額の算出を行います。

このうち②の推定修繕工事項目には、外壁や屋上防水と並んで、電気関係の項目が独立した分類として挙げられています。

▶ 12 電灯設備等
①電灯設備 ②配電盤類 ③幹線設備 ④避雷針設備 ⑤自家発電設備

▶ 13 情報・通信設備
①電話設備 ②テレビ共聴設備 ③インターネット設備 ④インターホン設備等

共用廊下やエントランスの照明、非常照明や誘導灯、配電盤、インターホン、テレビ共聴やインターネットの引き込みまで、日常的に「不具合が出たら直すもの」と思われがちな設備が、計画側にきちんと並んでいるということです。修繕積立金の算出も、この項目の積み上げから逆算されています。なお、これはあくまで標準的な様式であり、マンションの形状や仕様によって該当しない項目があることもガイドラインに明記されています。実際にどの項目が立っているかは、お手元の計画書でご確認ください。

この項目の並びを、どこまで一社にまとめて任せるかという発注側の判断は別の論点になります。そちらはマンション共用部の電気工事|一社にまとめる5つのメリットで扱っています。

計画に書かれた実施時期は「確定」ではない

管理会社のご担当者から「計画表に載っている年になったので工事の見積がほしい」というご相談をいただくことがあります。ここで押さえておきたいのが、ガイドラインが「長期修繕計画の精度」という項でこう述べている点です。

将来実施する計画修繕工事の内容、時期、費用等を確定するものではありません。また、一定期間(5年程度)ごとに見直していくことを前提としています。

修繕周期についても、ガイドラインは「時期(周期)は、おおよその目安であり、立地条件等により異なることがある」としています。同じ築年数でも、海沿いか内陸か、屋外にどれだけ設備が露出しているかで傷み方は変わります。

実施の要否は、事前の調査・診断で判断する

ガイドラインは作成の前提条件として、計画修繕工事の実施の要否や内容等は、事前に調査・診断を行い、その結果に基づいて判断するものだと明記しています。

さらに標準様式の推定修繕工事項目には、「18 調査・診断、設計、工事監理等費用」という分類があり、その①点検・調査・診断として「大規模修繕工事の実施前に行う点検・調査・診断」が挙げられています。続く「19 長期修繕計画作成費用」の①見直しには、「長期修繕計画の見直しのための点検・調査・診断」と「長期修繕計画の見直し」が並びます。つまり調査・診断は工事の前段にある段取りではなく、工事の側にも計画の側にも費用として組み込まれた工程だということです。

見直しには「おおむね1〜2年」かかる前提で動く

時間軸を考えるうえで、もっとも見落とされやすいのがここです。ガイドラインは長期修繕計画の見直しについて、次のように述べています。

5年程度ごとに調査・診断を行い、その結果に基づいて見直すことが必要です。なお、見直しには一定の期間(おおむね1~2年)を要することから、見直しについても計画的に行う必要があります。また、長期修繕計画の見直しと併せて、修繕積立金の額も見直します。

見直しが必要になる理由として、ガイドラインは①建物及び設備の劣化の状況、②社会的環境及び生活様式の変化、③新たな材料、工法等の開発及びそれによる修繕周期、単価等の変動、④修繕積立金の運用益、借入金の金利、物価、工事費価格、消費税率等の変動、の4点を挙げています。

電気設備は、このうち③の新たな材料、工法等の開発と、④の工事費価格の変動の影響を受けやすい領域です。前回の計画をつくった時点では選択肢になかった機器や方式が、次の見直しでは標準的な候補になっている、ということが起こります。見直しの検討が始まる時期に情報が揃っているかどうかで、そのサイクルに載せられるかが決まります。

調査から発注までの時間軸を逆算する

ここまでを実務の順番に並べ直すと、電気設備の工事を計画修繕に載せるまでの流れは次のようになります。

▶ ①調査・診断
現地で設備の状態を確認し、更新が必要な範囲と、まだ様子を見られる範囲を切り分けます。

▶ ②見直しへの反映
調査結果を長期修繕計画に反映します。ガイドラインが「おおむね1〜2年」としているのは、この①の調査・診断から②の反映までを含めた見直し全体の期間です。

▶ ③予算化と合意形成
修繕積立金の額の見直しと併せて検討されます。理事会・総会のスケジュールに載る時期が実質的な締め切りになります。

▶ ④仕様の確定と見積取得
更新する範囲と機器の仕様を固め、比較できる形で見積を取ります。

▶ ⑤発注と工程調整
工事日程を確定します。電気設備は停電を伴う作業が入ることがあり、居住者への周知と作業時間帯の調整に日数がかかります。

こうして並べると、実際に工事をしたい年の数年前には①が動いていることになる、という計算になります。仕様が固まってから日程を探し始めると、繁忙期と重なって希望の時期に入れないことも珍しくありません。

複数物件を担当するときの進め方

管理会社のご担当者の場合、悩ましいのは物件ごとに見直しの時期がずれることです。A棟は見直しの年、B棟は工事の年、C棟は次の調査待ち、という状態が同時に走ります。

そこで効いてくるのが、調査の見方と見積の出し方を物件間でそろえておくことです。ただしこれは長期修繕計画の話というより、複数の現場をどう束ねるかという体制側の話になります。書式や基準を揃える具体的な仕組みは全国対応の電気工事|エリアごとの応援スタッフ手配と品質を揃える仕組みにまとめてありますので、そちらをご覧ください。

株式会社スマイルパートナーは、電気工事の法人請負として全国のマンション・商業施設・店舗に対応しています。長期修繕計画の見直しに向けた現況の確認から、実際の施工までを同じ窓口でお受けできますので、物件ごとに発注先を探し直す手間をかけずに進めていただけます。

計画修繕の年が近づいてから声をかけていただくよりも、見直しの検討が始まる段階でご相談いただいたほうが、選べる選択肢は確実に多くなります。まずは現状の設備を見せていただくところからお気軽にお申し付けください。

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出典:国土交通省「長期修繕計画標準様式・長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」(令和6年6月改定)

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