工場や倉庫の高天井照明をLEDに切り替えるとき、稼働を止めずに進められるかどうかは、工事の前の段取りでほぼ決まります。確かめたいのは、今ついている照明の種類、照明の回路と作業区画の分け方、高所作業車が入れるかどうか、作業中の立入禁止の範囲、外した器具の処分の5つです。この記事では、発注側のご担当者が現地調査の前にそろえておくと話が早い情報と、工事当日までの進め方を整理します。
まず確かめたいのは「今ついている照明の種類」
工場や倉庫の高い天井には、蛍光灯のほか、水銀灯などの高輝度放電ランプ(HIDランプ)が使われていることがあります。環境省の資料では、高圧水銀ランプは体育館や工場など、高い照度が必要な場所で使われているとされています。
この高圧水銀ランプについて、環境省は2020年7月の資料で「2020年12月31日から開始される規制により、一般照明用の高圧水銀ランプの製造及び輸出入は、その水銀含有量にかかわらず原則禁止」と案内しています。あわせて、この規制は使用・修理・交換・販売を禁止するものではないとも書かれています。つまり、今ついている水銀灯をすぐに外さなければならないわけではありません。ただし、一般照明用の高圧水銀ランプは原則として新しく製造・輸入されなくなったため、交換用のランプはいずれ手に入りにくくなります。なお、この資料によると、同じ高輝度放電ランプでもメタルハライドランプ・高圧ナトリウムランプ・バラストレス水銀ランプは、2021年以降も製造・輸出入できるとされています。
代わりの製品としては、メタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプ、LED照明などが挙げられ、▶ 代替製品に替えるときはランプに合わせた照明器具への交換も必要になるため、計画的な切り替えがすすめられています。水銀灯をLEDにする場合は、ランプだけでなく器具ごとの交換を前提に工程を考えるのが基本です。蛍光灯の種類ごとの規制の時期は蛍光灯からLED照明への切替工事のページに、切り替えの考え方は蛍光灯からLED照明への切替工事|2027年水銀規制を見据えた法人向け対応にまとめています。
稼働を止めずに替えるための段取り
① 照明の回路と作業区画をそろえる
照明器具を交換するあいだ、その器具がつながっている回路は電気を止めて作業します。そのため、どの区画をいつ暗くしてよいかを決めるには、▶ 分電盤の回路が、天井のどの照明につながっているかを先に把握する必要があります。回路の分かれ方と作業区画が合っていないと、作業していない場所まで消灯することになります。
区画が決まったら、その区画で作業できる時間帯を決めます。ライン単位・通路単位で順番に進めるのか、夜間や休日にまとめて作業するのか。稼働カレンダーと出荷の繁閑を見ながら、区画ごとの日程に落とし込んでいきます。
② 高所作業車が入れるか、足場が要るか
高天井の照明工事では、高所作業車を使うか、足場を組むかで工期も費用も大きく変わります。高所作業車を使う場合は、作業場所まで車両が通れるか、真下に車両を据えられるかが前提になります。現地調査の前に、次の点が分かると見通しが立てやすくなります。
- 照明の下の通路の幅と、車両が通る経路の段差・スロープ
- 床の状態(ピットや溝、傷みやすい床材、荷重の制限がある場所)
- ラックや設備の高さと配置(照明の真下に車両を据えられるか)
- 天井付近の梁・配管・ダクト・天井クレーンなど、作業の支障になるもの
なお、高所作業車を使って作業する事業者は、作業場所の状況や車両の種類・能力に合った作業計画を定め、その計画どおりに作業することが求められています(労働安全衛生規則第194条の9)。上の情報は、工事をする側がこの計画を立てるための材料にもなります。
③ 立入禁止の範囲と、人・フォークリフトの動線
稼働しながら工事を進める場合、作業区画の真下と周囲は立入禁止にします。工具や部材が落ちる可能性があるためです。その区画を通るはずだった人やフォークリフトの動線をどこに迂回させるか、作業区画の下にある製品や設備をどう養生するかを、工程と一緒に決めておきます。現場で作業する方への周知の方法(朝礼、掲示、館内放送など)も、発注側で決めておくと当日の混乱が減ります。
④ 外した器具とランプの処分まで決めておく
水銀灯や蛍光灯は水銀を含みます。環境省の資料は、高圧水銀ランプを廃棄するときは廃棄物処理法に沿って適正に処理するよう求めています。灯数がまとまる工場・倉庫では、外した器具とランプの量も多くなるため、誰が引き取り、どう処理するかを見積の段階で決めておくと安心です。
古い水銀灯器具が残っている場合は、安定器にも注意が必要です。環境省の資料では、昭和47年頃までに製造された安定器には高濃度のPCBを封入したコンデンサを使ったものがあり、工場・体育館などの高天井に使われる水銀灯器具の安定器としても使われていたとされています。PCBを使った安定器は、廃棄するときは廃棄物処理法上の特別管理産業廃棄物にあたり、ランプとは別の扱いになります。器具を外す前に、安定器の表示ラベル(製造年など)を確認しておきます。環境省のPCB早期処理情報サイトでは、高濃度PCBを使った安定器の処分期間はすでに終わっており、新たに見つかった場合は速やかに管轄の自治体へ保管状況を報告するよう案内されています。PCBを使った安定器かもしれないと分かったときは、そのまま取り外しや処分に進めず、管轄の自治体の窓口で扱いを確かめてください。見積の段階で、工事をする側にも伝えておきます。
工事をする側に確かめておきたい安全の体制
高所作業車の運転には、作業床の高さに応じた資格が必要です。作業床の高さが10メートル以上の高所作業車の運転は技能講習の修了などが必要な業務(労働安全衛生法施行令第20条第15号)、10メートル未満(作業床の高さが2メートル以上のもの)の運転は特別教育が必要な業務(労働安全衛生規則第36条第10号の5、労働安全衛生法施行令第10条第7号)とされています。また、作業床が垂直にだけ上下する構造のものを除き、作業床の上で作業する人には墜落制止用器具を使わせることが事業者に義務づけられています(労働安全衛生規則第194条の22)。
これらの条文で義務を負うのは、高所作業車で作業をさせる事業者(この記事の場面では工事をする側)です。自社の従業員に高所作業車を運転させる場合は、自社がこの事業者にあたります。一方で発注側にも、労働安全衛生法第3条第3項で、施工方法や工期・納期などについて、安全な作業を損なうおそれのある条件を付けないよう配慮することが求められています。発注側としては、▶ どの機械を使い、誰が作業を指揮し、どこを立入禁止にするのかを事前に共有してもらうと、自社の安全管理や構内のルールと合わせやすくなります。区画ごとの作業時間や工期を決めるときも、時間が短すぎて作業を急がせる条件になっていないかを、工事をする側と相談しておきます。
発注前にそろえておくと話が早い情報
- 天井の高さと、照明の取り付け位置(おおよそで構いません)
- 照明の種類と灯数(水銀灯・蛍光灯・その他)、器具の型番が分かればその情報
- 区画ごとの稼働時間と、作業できる時間帯・曜日
- 通路・ラック・設備の配置が分かる図面や写真
- 危険物を扱う区画や、立ち入りに条件がある区画の有無
- 取り外した器具・ランプの処分を工事と一緒に頼みたいかどうか
- 建物を借りている場合は、照明器具の交換や取り外した器具の扱いに、貸主・管理会社の承諾が要るかどうか(賃貸借契約や管理規約で確認)
工場・倉庫の照明LED化はスマイルパートナーへ
株式会社スマイルパートナーは、工場・倉庫の高天井照明を含む、蛍光灯・水銀灯からLED照明への切替工事を、法人からの請負として日本全国で承っています。高所作業車や足場が必要な現場も、天井の高さと現場の状況を確認したうえでお見積りします。危険物を扱う区画も、現地を確認したうえで対応を判断します。区画単位に分けて稼働を止めずに進める工程を基本とし、夜間・定休日の作業にも対応します。取り外した器具・ランプは当社で回収し、水銀を含むランプは適正に処理します(PCBを使った安定器の可能性がある器具は、お見積りの段階でお知らせください)。現地調査・お見積りは無料です。対応の詳細は蛍光灯からLED照明への切替工事のページをご覧ください。
