電気工事が終わったとき、法人のご担当者が受け取っておきたい記録は、大きく分けて5つあります。完了報告書、施工前後の写真、見積から変わった点の記録、保証がいつから始まるかの記録、そして撤去や処分を伴う工事ではその書類です。引き渡しの場で確かめるのは、これらが「発注した内容と見積」に一つずつ対応しているかどうかです。この記事では、受け取る記録ごとに、引き渡しの時点で見ておきたい点を整理します。
完了時の記録は「あとから確かめられるか」で価値が決まる
工事が終わった直後は、設備が動いていれば問題がないように見えます。記録が役に立つのは、そのあとです。不具合が出て施工が原因かどうかを確かめるとき、社内や元請けへ完了を報告するとき、数年後に同じ設備を更新するとき。こうした場面で、▶ 現場に行かなくても「何を、どこに、どう施工したか」が分かる状態になっていれば、記録としての役目を果たしています。
受託する側から見た発注から完了報告までの全体の流れは、電気工事の受託|ホームセンター案件の発注フローと品質管理の進め方で解説しています。この記事は、その最後の段階である「受け取る側の確認」に絞った内容です。
引き渡しで受け取る記録と、確かめる点
① 完了報告書——発注内容と一対一で対応しているか
まず見るのは、発注書や見積書に書いた項目が報告書にそろっているかです。現場の住所、設置した機器の型番と台数、作業の内容、作業日。複数の現場をまとめて発注している場合は、現場ごとに報告が分かれているかも確かめます。見積書のどの行がどの作業にあたるかの読み方は、電気工事の見積書の読み方|法人担当者が内訳と追加費用の条件で確かめる点をご覧ください。
報告書の項目や書式は、工事が終わってから決めるより、発注の段階で取り決めておく方が確実です。社内の台帳や元請けへの提出書類にそのまま転記できる形を最初に指定しておけば、受け取るたびに書き直す手間がなくなります。
② 施工前後の写真——完成後に見えなくなる部分があるか
写真は、枚数よりも「どこを撮ったか」が大切です。とくに、壁の中や天井裏、カバーの内側など、完成すると見えなくなる部分の写真があるかを確かめてください。あとで不具合を調べるとき、開けずに状態を確認できる手がかりになります。
▶ 確かめたい点の例:同じ位置から撮った施工前と施工後がそろっているか/機器の型番が読める写真があるか/どの現場・どの部屋の写真か分かるようになっているか。撮影箇所は、工事の種類ごとに発注時に指定しておくと、現場ごとのばらつきが減ります。
③ 見積から変わった点——理由と、誰が了承したか
現場を開けてみて、配線の延長や部材の追加が必要になることはあります。その場合に残しておきたいのは、変わった内容、変わった理由、そして誰がいつ了承したかです。請求書を受け取ってから気づくのではなく、完了の時点で「見積との差」を一覧で確かめておくと、社内の承認もスムーズに進みます。
④ 保証の記録——いつから、何を対象に始まるか
工事に保証が付く場合は、期間だけでなく、いつから数えるのか(工事の完了日なのか、引き渡しの日なのか)と、何が対象か(施工に起因する不具合なのか、機器本体も含むのか)を確かめます。機器本体の保証は、工事の保証とは別に機器の保証書で定められていることがあるので、分けて保管しておくと、問い合わせ先を取り違えずに済みます。
⑤ 撤去・処分を伴う工事——法令で保存が求められる書類もある
既存の機器を取り外して処分する工事では、処分の記録も受け取ります。たとえば業務用のエアコン(一般の家庭で使う機種以外のエアコンで、冷媒にフロン類を使うもの)を廃棄する場合、フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(フロン排出抑制法)の第45条により、第一種フロン類充塡回収業者は、フロン類を引き取ったときに「引取証明書」を交付(工事会社などに引渡しを委託した場合は送付)することとされています。そして、廃棄する側(第一種特定製品廃棄等実施者)は、引取証明書によって引渡しが終了したことを確認し、主務省令で定める期間保存しなければならないとされています。決められた期間内に届かない場合や記載に不備がある場合は、都道府県知事への報告が必要になることも定められています。
つまり、▶ 業務用エアコンの入替や撤去では、その機器の所有者など管理者として廃棄を行う法人が、この書類を「受け取って保存する側」です。エンドユーザー様の工事を取り次いで発注している場合は、書類が機器の管理者の手元に届くように受け渡しの流れを決めておくと安心です。取り次ぐ会社がフロン類の引渡しの委託を受ける立場(第一種フロン類引渡受託者)になる場合は、その会社自身にも、委託確認書を回付してその写しを保存すること、充塡回収業者から交付される引取証明書の写しを保存すること、さらに別の会社へ再委託するときは事前に廃棄する側から書面で承諾を受けることなどが、同法第43条・第45条で定められています。あわせて、廃棄する側はフロン類の引渡しを依頼するときに「回収依頼書」(工事会社などに引渡しを委託する場合は「委託確認書」)を交付し、その写しを保存することも同法第43条で定められています。工事の記録と一緒に綴じておけば、あとで探す手間が省けます。なお、家庭用として製造・販売されたエアコンは、事務所などで使っていても引取証明書の対象となる機器(第一種特定製品)には当たらず、家電リサイクル法の手続きで処分します(環境省・経済産業省「第一種特定製品の管理者等に関する運用の手引き」より)。保存期間などの細かな扱いは、環境省・経済産業省の案内で確認してください。
受け取ったあとは「設備ごと」にまとめておく
記録は、工事の日付順ではなく、拠点と設備ごとにまとめておくと使いやすくなります。次にその設備を点検・更新するとき、前回の施工内容と写真、保証の残り期間がひとまとまりで見られるからです。複数の拠点がある場合は、拠点ごとの様式をそろえておくと、比較や引き継ぎがしやすくなります。
完了報告の形から相談できる株式会社スマイルパートナー
株式会社スマイルパートナーは、電気工事・エアコン工事を法人からの現場ごとの請負・業務委託としてお受けしています。完了報告書は御社の様式に合わせて作成し、写真の枚数、撮影箇所、記載項目のご指定にも対応しています。取引を始める前の打ち合わせで報告書の書式を取り決める流れは、お取引の流れのページにまとめています。
工事には工事完了日から1年間の工事保証(施工に起因する不具合が対象)をお付けしています。エアコンの撤去では、家電リサイクル券の発行まで対応しており、第一種フロン類充塡回収業者の登録も受けています。対応エリアは日本全国で(業務用エアコンの設置工事は首都圏が中心です)、一部の地域では距離に応じた出張費を頂戴する場合があります(お見積りの段階で明示します)。
※本記事のフロン排出抑制法の記述は、e-Gov法令検索に掲載の「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律」(平成十三年法律第六十四号)第43条・第45条をもとに要約しています。法令の内容は改正されることがあるため、実務の際は最新の条文と所管省庁の案内をご確認ください。
