
法人向けの太陽光発電設置工事は、住宅への設置とは工程の複雑さが大きく異なります。現場調査・接続検討申込・系統連系承諾・施工・完工検査まで、電力会社や関連法令が絡む複数の工程が連動しており、発注前に全体フローを把握しておくことが工期短縮・コスト管理の鍵になります。
法人向け太陽光発電工事の全体フロー
法人・事業者が自社施設に太陽光発電を導入する際の一般的な流れは以下のとおりです。
①現場調査・設計 → ②接続検討申込(電力会社) → ③連系承諾・工事費負担金契約 → ④設置工事・施工 → ⑤完工検査・系統連系開始
この流れの中で特に注意が必要なのは、▶ 電力会社への接続検討申込が着工前に必要という点です。接続の可否や工事費負担金の有無は、電力会社の技術検討回答を待たなければ確定しません。事前に工事会社と綿密にスケジュールを組むことが重要です。
工事全体の発注先選びについては、サービスの流れもあわせてご参照ください。
①現場調査・設計|事前確認のポイント
屋根・架台・受電設備の適性確認
現場調査では、パネルを設置する屋根・屋上の構造・強度・方位・傾斜角の確認が最初の工程です。加えて既存の受電設備(キュービクルの有無・契約電力・受電電圧)も確認します。高圧受電設備がある場合は連系区分が「高圧連系」となり、低圧契約の場合とは手続きや必要工期が異なります。
設置容量と系統連系区分の確認
- ▶ 低圧連系(50kW未満):小規模事業所向け。電気事業法上は一般用電気工作物等に分類。手続きが比較的シンプル。
- ▶ 高圧連系(50kW以上〜2,000kW未満):中規模事業所・工場向け。自家用電気工作物に分類され、保安規程の届出・電気主任技術者の選任が義務となる。
- ▶ 特別高圧連系(2,000kW以上):大規模施設・メガソーラー向け。工事計画届出書の提出義務(着工30日前)あり。電気主任技術者の外部委託不可。
②接続検討申込と電力会社手続き
設置容量と系統連系区分が固まったら、管轄の一般送配電事業者(東京電力パワーグリッド・中部電力パワーグリッド等)へ接続検討の申込を行います。申込後、送配電事業者は電力系統への影響・設備増強工事の必要性を技術検討し、連系可否と概算工事費用を回答します。
連系承諾後は工事費負担金契約を締結し、送配電側の設備工事が実施されます。この期間は申込内容・エリアによって数週間〜数か月かかる場合があり、全体工期の見積もりに織り込んでおく必要があります。
③設置工事・施工と必要な資格
電気工事士法上の資格要件
太陽光発電の設置工事には電気工事を伴うため、電気工事士法に基づく有資格者が施工を担う必要があります。
- 一般用電気工作物(低圧受電):第二種電気工事士以上が対応可
- 自家用電気工作物(高圧受電):第一種電気工事士または認定電気工事従事者が必要
協力会社に施工を依頼する場合は、有資格者の在籍確認・電気工事業登録の確認が発注側企業のリスク管理上も重要です。
主な施工工程
- 架台・パネル取付(屋根補強含む)
- パワーコンディショナー(PCS)設置・配線
- 接続箱・モニタリング機器取付
- 既設受電設備との接続・保護継電器設定
- 絶縁抵抗測定・動作確認試験
④完工検査・系統連系開始
施工完了後、送配電事業者による完工確認・連系確認(逆潮流試験・保護継電器整定確認等)が行われ、問題がなければ系統連系が開始されます。FIT認定を取得している場合は売電開始、自家消費型の場合は発電モニタリングの稼働確認が節目になります。
2,000kW以上の大規模設備では、電気事業法に基づき着工30日前までに工事計画届出書を経済産業省(産業保安監督部)へ提出する義務があります。
法人が施工会社を選ぶ際のチェックポイント
- ▶ 電気工事業登録・許可の確認:建設業法上の電気工事業許可(500万円以上の工事)または電気工事業法上の登録の有無を確認する。
- ▶ 接続検討申込のサポート範囲:電力会社への申請手続きを一括して代行できるか確認する。
- ▶ 完工後の保守体制:パネル・PCSの定期点検や障害時の対応スピードを事前に確認する。
- ▶ 全国対応の施工ネットワーク:複数拠点・全国展開している法人の場合、現場ごとに施工体制を手配できる工事会社か確認する。
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